回路の悩み

先週ご紹介しました10mm×10mmの64チップ高密度多実装品の回路は、1直列64並列を採用しています。

ここで、直列回路と並列回路について考えてみます。
チップを多実装する場合、直列回路は全LEDチップに対して同じ電流を供給できる事から、発光ムラを低減でき、電流値を下げることができます。しかし、LED1個の駆動電圧×直列数分の電圧が必要になり、駆動電圧が高くなる事で電源コストが高くなる他、パッケージ回路が複雑になるデメリットがあります。

一方、並列回路は、駆動電圧を抑える事ができる上、たとえ何らかの要因でチップがショートやオープン故障しても他のチップはその影響を受けずに発光し続けます。しかし、1チップに対する電流値を一定にできないため、発光ムラが出る可能性があります。

直列、並列それぞれにメリットとデメリットがあることがわかります。

10mm×10mmのスペースに64チップを高密度で実装するにあたって、直列回路での作製は困難でした。なぜなら通常のフェイスアップチップの場合は、p電極、n電極の両方がチップ上面にあるため、順番にワイヤーを結線して行けるのですが、上下電極のVチップを実装する場合は、p電極をチップ裏面、n電極をチップ表面で取るため、1チップ毎にワイヤーを結線する電極スペースが実装基板上に必要になるため、チップの間隔を詰める事ができないからです。
そこで、ソーティングによってなるべく特性の近い64チップを選別しました。

更にワイヤーの長さを合わせる事で、電流を均一に供給でき
ご覧の通り64チップに発光ムラは確認されません。

但し電流値がものすごく高くなりました。
それぞれにメリット、デメリットがありますが、ユーザーの声を参考に
あらゆる可能性に挑戦し続けたいと思います。