LEDの天敵

 静電気の電圧は3000Vと非常に高い一方、瞬間的に流れるという性質を持っています。
従って、電子部品に静電気が流れると、大量の電気が瞬間的に回路に侵入することで、回路が破壊される危険があります。
特にフェイスアップタイプのLEDベアチップは絶縁体であるサファイア上に発光層が載っているため、静電気によって破壊され易い構造上の問題があります。青色系LEDが静電気に弱いと言われるのは、そのためです。
最近の高出力ベアチップは、サファイアを取り除き、導電性の金属と貼り合わせた上下電極構造になっているので、フェイスアップチップよりも静電気に強くなっていますが、静電気によってチップが破壊される可能性は依然あります。
そこで、静電気から保護する目的で、ツェナーダイオード(ZD)を使用します。ZDを搭載することで、逆方向に侵入した電流を逃がすことができ、LEDチップを保護する事ができます。つまり逆バイパスを確保しておくのです。
ZDの搭載方法は、LEDチップと並列、逆向きに実装します。ZDは、逆方向は一定の電圧を超えるまでは電流が流れないので、LEDが点灯する電圧ではZDには電流が流れず、LEDに対して逆向きの過大な電圧が印加された場合のみ、ZDに電流が流れてLEDを保護します。

 静電気によって破壊された場合、LEDチップ表面やワイヤーにはダメージがなく、見た目には分からない場合も多いですが、電気特性を測定することで判別できます。下記のグラフは正常品と静電破壊品の比較になります。このケースでは完全に不点灯になっていましたが、点灯するものもあるので注意が必要です。
ZD により製品は保護されていますが、LEDを取り扱われる際には静電気対策をしっかり行って頂きたいと思います。